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受賞作品の紹介
<受賞作品> 「年をとった鰐」 監督:山村 浩二 12分53秒(東京都) 傑作である。フランスのレオポルド・ショボーの原作絵本を、山村浩二監督が寓意とユーモアに溢れたアニメーションに紡いだ!ピラミッドが築かれた頃から、何千年も生きて来た老鰐の自由奔放で風変わりな物語。全編無駄のないシンプルな表現ながら、風格のあるアニメーションである。「飛騨国際メルヘンアニメ・コンテスト」のグランプリに相応しい作品であるとともに、本年度の大きな収穫となった。(片山雅博) |
<受賞作品> 「MAESTRO」 監督:GEZA M TOTH/KEDD Ltd. 4分35(ハンガリー) ステージ待合室。出番を待つマエストロ。その周りをステッピング・モータに据えられたカメラが楕円軌道でフォローする。1カット・アニメーション。しかしこの作品では、巧みなフレームワークを駆使し、相容れない、モンタージュ手法による映像演出という領域にまで踏込む。(正面に大鏡を配し、全景を映し出すという更なる演出的困難を加えて)ラストにおいて、ステッピング・モータを用いた演出が、思い付きや趣向によるのでなく、緻密に計算されたものである事を痛感させられる。ついでのようではあるが、3DCG技術においてもMAESTROが、一流の作品であることは言うに及ばない。(高桑昌男) | |||
「THE GIFT」 監督:Jessica Langford 9分10秒(スコットランド) 絵が動く!この不思議な魅力こそがアニメーションの原点だと思うのだが、まさにこの作品はそれを持っている。モノクロの複雑な画像はどうやって描いたのだろうと思わせるが、砂で描いた絵を少しずつ動かすという苦労の要る手法をとっているようだ。洗練された絵と言えないが、それがかえって骨太な力強さを作品に与えているし、セリフもなく簡潔な音楽を使うだけで、子どもも十分に理解できるストーリーになっている。人魚伝説に想を得ているが、日本の浦島太郎の話に重なるところがあり、西洋との共通点が見えて興味深い。これも最優秀作品賞の候補となった作品です。(小田部羊一) |
<受賞作品> 「Din」 監督:Gilles CUVELIER 12分(フランス・ベルギー) 人間は、Homo sapiensであるがHomo festivusであるとも言えます。(本能のように祝祭を探し、楽しむという意味です。)この作品は、ピエロを通して私達にその祝祭人として人間の本性を探してくれています。人がいっぱいだった祝祭の場所はある日突然ガランと空っぽになっていました。祝祭の群衆、ロマン、思い出は全部どこかへ消えてしまったのでしょうか。ピエロは信じられず座り込んでしまいます。その時、何らかの感覚が体に走ると、魚の群れが夕立のように降り注ぎました。そして、風がピエロを運んでいった先は、生命の母である海でした。海が永遠に続く祝祭の場であるということを見せてくれながら、美しいこの作品も終わります。(李龍培) | |||
「おばあちゃんの作業部屋」 監督 監督:中田 彩郁 2分40秒(埼玉県) 傑作である。中田彩郁監督自身が、幼い頃の記憶の中に今も鮮明な、祖母に対する憧憬と思慕と敬愛を一途に込めて描いたショートショート作品。やわらかな光と、温もりに溢れた水彩のグラフィック表現からは、品格と将来性を感じる。こんなにも、優しさに溢れたアニメーションを私は知らない!この作品も、今年のメルヘンアニメ・コンテストの大きな収穫である。(片山雅博) | |||
「The Path of Love」 監督:Morteza Ahadi 16分(イラン) イランは意外とアニメーションの国で、今回のコンテストにも現代的な作風のものも含めて数点の応募があった。中でも、木切れを素材にした伝統的な雰囲気を持つ立体アニメーションのこの作品に審査員たちの心が寄せられた。説話に基づいているらしいストーリーは馴染み薄いが、様式美豊かに完成させられた鳥たちの動きには日本に住む私たちにも見事なリアリティーを共有することができる。そこにはまさにアニメーションの魂が感じられる。(片渕須直) |
<受賞作品> 「将棋アワー」 監督:青木 純 7分53秒(東京都) 「くだらな〜い」この作品における最大の賛辞はこの一言に尽きる。「NHK将棋の時間」を観たことのある方であれば、千葉涼子女流王将に似せたキャラが登場した時点で抱腹絶倒疑いない。BGMも見事なまでにパロっている。勿論、将棋に詳しくない方々にも楽しめる仕掛けも充分である。アート志向のアニメーション作家の多い中、作者は明らかに別の路線を直走る。その勇気に敬意を評したい。唯一この作品で気にいらぬ点指摘しておけば、対局するA級棋士の段位。A級順位戦を勝ち抜いた棋士は、おのず8段以上でなければならない。(高桑昌男) |
<受賞作品> 「The Fan and the Flower」 監督:Bill Plympton 7分10秒(アメリカ) モノトーンの世界でストーリーが展開し、扇風機と花の思いもつかない組み合せながら見ているうちに感情移入し、まるでロミオとジュリエットを見ているような雰囲気に誘い込まれていきます。また、良いところで部分的に色づけされた花が印象的で、扇風機にも又我々見ている者にも語りかけてくる演出は心憎い。地面に移植された花が生き返り、よく見ると花びらが扇風機っぽくてハッピーエンドになっているのが、良い意味でアメリカ的健康さが出ていてホッとする。表現されている線は、余分なものは削り取り単純化されているが、決して冷たくはなく却って温かさが強調されている。どこか、飛騨の匠に通じるものがあるような気がするのは考えすぎでしょうか。(篠田英男) |
<受賞作品> 「吉野の姫」 監督:丸山 薫 8分11秒(東京都) この作品「吉野の姫」は、時代背景は別として全体的な感じは大野町にピッタリ!大野町は「柿とバラ」で有名な町ですが、春のサクラの時期に山裾に向かって町を遠望するとき、あちこちに満開の桜の木が散見され、このアニメーションに重なります。アニメーションの主線は、ペンの硬い線と違って柔らかな鉛筆の線のようで、色と相まってこの心温まる話にふさわしい雰囲気を醸し出しています。日本の原風景を沢山残している大野町の賞は、この「吉野の姫」と良い組み合わせだと思います。(篠田英男) |
| ※「飛騨メルヘン賞」は該当なし |